不動産の2022年問題ついに到来!!

「生産緑地」指定解除で固定資産税が10倍に激増するかも

その時、あなたはどうしますか

生産緑地とは?

 生産緑地とは、都市計画法によって「生産緑地地区」として指定された市街化区域内の農地です。通常、市街化区域内にある農地は宅地並みに高額な固定資産税が課せられます。しかし、30年間は農地・緑地としてのみ使用することを条件に「生産緑地」の指定を受けることで、軽減措置が講じられます。また、その他相続税の納税猶予が受けられる等のメリットがあります。ただし、優遇措置があるため、その30年間は自由に売買ができません。

 そして生産緑地の大半は1992年に指定を受けているため、2022年を迎える今年一気に指定解除される予定となっています。

(写真出典:国土交通省「生産緑地制度の概要」)

不動産の2022年問題とその影響

(図表出典:国土交通省 都市局 都市計画課 公園緑地・景観課「特定生産緑地指定の手引き 令和3年6月版」)

 ここから先のお話は生産緑地所有者でなければ特に関係が無い話かもしれません。

 しかし、2022年以降生産緑地の所有者にとっては情報入手や選択肢を誤ると優遇措置が無くなって固定資産税や相続税の費用負担が増加するだけではなく、人口減少により将来的に売却するにしても大幅に価値が下がった状態で売ることになるかもしれません

 

そういった可能性を懸念して所有者が農地を「投げ売り」することにより、供給過多になった結果、土地価格下落の可能性が指摘されています。

 その可能性の対策として2018年に法改正がありました。新しくできた「特定生産緑地制度」(=さらに10年間の期限延長制度)、施設要件の緩和や農地貸付制度の充実等により無理な「投げ売り」をせざるを得ない状況はとりあえず回避できるかもしれませんが、いずれにせよ基本的には終身営農が前提です。

 いつまで農業を続けるのか?続けられるのか?という視点だけでなく、相続による土地分割で面積要件の失効の可能性等多角的な可能性を考慮しなければなりません。また、自治体に買取請求も可能ですが昨今の自治体の財政事情を考えるとあまり現実的ではないかもしれません。

 様々な可能性を考慮し、情報収集や税金や法律、不動産それぞれの分野の専門家に相談してみることも重要でしょう。

では、どうすれば良いのか?

 考えられる選択肢は以下の通りです。

考えられる選択肢の例

  • 営農を続ける
  • 自治体に買取の申出をする
  • 土地活用をして賃貸経営をする
  • 土地を一般個人や不動産会社に売却する

 大きくは「営農を続ける」か「不動産として活用もしくは処分」になるかと思いますが、分かれ目は「相続税の支払い猶予を受けているかどうか」と言われています。営農を続ける場合は、一生続ける前提となります。その上で相続税の支払い猶予措置を受けている場合は再度生産緑地や特定生産緑地として活用していくことも良いでしょう。

 ただし途中で営農を辞めた場合、相続税の支払い猶予が無くなるだけでなく過去分を利子税を含めて遡って支払わなければなるかもしれません。また、(特定)生産緑地の指定をしない場合は固定資産税の軽減措置もなくなります

 いずれの選択肢を選ぶにしても、メリットデメリットを専門家と相談しながら情報収集し(期限があるので)早期に判断することが必要となります。資産活用や処分の場合も、2022年問題の影響だけではなくそもそも人口減少により需要低下により(特に郊外や地方部は)賃料や土地価格の下落が推定されます。その結果、売ろうと思ったタイミングで相場が想定より下落している可能性は大いに考えられます。

 現状の相場を把握しておくことはもちろん、資産処分の可能性も考慮して不動産の専門家に早期に相談しておきましょう。

信頼できる不動産業者とは?

 生産緑地は一般的な宅地とは異なるため、十分な知識と経験を持っている不動産業者に相談することが良いでしょう。また、地元密着で相場を理解していることも大切です。

 注意点としては、まず「査定ありき」のスタンスの業者には注意しましょう。

 不動産の2022年問題は裏を返すと不動産業者にとってチャンスとも言われています。今まで市場に流通しなかった「新商品」が大量にラインナップできる事になるので、特にハウスメーカーや土地開発業者にとっては大きなビジネスチャンスと捉えていることでしょう。

 しかし、所有者にとっては大切な資産です。売却するにしても、急かされて「投げ売り」になってしまわないように地元に密着し親身に相談に乗ってくれる不動産業者に相談しましょう。